私たち音楽関係者は、著作権法改定による輸入CD規制に反対します



リンク先をご覧いただければお分かりの通り、輸入権創設問題に対し、音楽関係者からはっきりと反対の声が上がりました。僭越ながら私もメディア関係者のひとりとして名を連ねさせていただいています。
分かり切ったことだが、法案の衆議院通過はもう目前で、参議院を全会一致で通過している以上、今からこれを廃案に追い込むのは現実的に考えたら万に一つの勝ち目もない。そんなことは百も二百も分かっているが、ただ黙って見過ごすことはできない有志が団結して反対を唱えたのだ。目的はもちろん法案成立の阻止だが、それ以前にこれを切っ掛けに世論の盛り上がりを期待しているのである。世間一般にはほとんど波風は立っていないのだから。そのためのひとつの手段であって、これがゴールではない。もっと言うならたとえ法案が可決成立しても、それで全てが終わるわけではないと個人的には考えている。
私個人は一リスナーであり、一音楽ファンであるという意識が強く、「音楽関係者」という自覚が芽生えたのは小野島さんからメールを頂いてからというのが正直なところだ。確かに雑誌などで駄文を書かせていただくことがあるので、音楽業界に首を突っ込んではいるのだろうが、私の名前などがどの程度の影響力を持っているかは誰よりも自分がよく分かっているつもりだ。それでも私ひとり分の声が増えることで微力ながらも役に立つのであれば名前を出すことには全くやぶさかではない。こんなものでよければどうぞ使ってくださいという心境。
この問題に最初に異を唱えたくなったのは、個人の立場とは無関係に自由が侵されることに腹が立ったからである。かつて清志郎が歌ったように「短いこの人生で 一番大事なもの それが俺の自由!自由!自由!」と思いながら日々生きている私には許し難いことだったのだ。今私の掲示板の方をチェックしてみたら、さすが人里離れた過疎掲示板だけのことはある、昨年12月、最初にこの問題に言及した書き込みが残っていた(笑)。今となっては事実誤認の部分もあるが、いい機会だから引用しておく。

主宰者 題名:輸入権がやって来る ブー! ブー! ブー!
投稿日 : 2003年12月23日<火>15時17分

いくらやる気のない私でもこれを静観しているわけにはいきません。既に新聞報道もなされているし、ネット上の音楽系サイトでも話題になっているのでご存知でしょう。次期通常国会で提出される見通しの著作権法改正案に盛り込まれているという「輸入権」の問題。

念のため概要を説明しておきます。元はと言えばアジア各国向けに輸出されているJ-POPのCDを逆輸入という形で国内販売している一部のディスカウント店の動きを阻止する目的が発端だったのですが、対象をJ-POPものだけに絞ることは出来ないのであらゆる輸入盤に対して、ライセンスを持つ国内レーベルの許諾無しに輸入できないようにする権利を認めさせようとするものです。

これが認められると国内レーベルは輸入盤に輸入権料を上乗せして、販売時に国内盤と同じ値段にすることが可能になるばかりか、極端な場合輸入自体を禁止することもできます。つまり現在輸入盤を購入している人が享受しているメリット、価格が安い、(国内盤より)早く入手できる、CCCDを買わずに済む、などが全く無になってしまいます。

輸入権自体は日本以外の国でも設定されている権利ではありますが、それは日本特有の再販制度(メーカーが決めた価格でしか販売できない制度)が存在しない、自由価格競争が行われている環境だから認められている権利です。値引きはさせない、しかも安い輸入盤は売らせないとなればユーザーの選択の範囲は極めて狭いものになり、資本主義の中での経済活動とはかけ離れた市場が形成されます。

Res:主宰者 投稿日 : 2003年12月23日<火>15時18分
だいたい今でもアルバム1枚が3000円もするのは、国内レコード会社の怠慢以外の何物でもないと私などは思っています。CDが一般に流通するようになって、価格が3200円前後で落ち着いたのが86年ごろだったでしょうか。その後物品税の廃止により3200円だったCDは2920円に、3%の消費税導入(89年)からは税込みで3008円(本体2920円)もしくは税込み3000円(本体2913円)が主流になり、この価格設定は現在まで続いています。
この間、CD制作にかかるコストはどれだけ下がったと思います ? CD1枚のメディア価格、プレス費用、デジタル機器導入によるレコーディング費用、その他諸々技術上、流通上の問題が次々クリアされてCD制作は10数年前よりはるかに低価格で行えるようになったというのに、販売価格だけは変わっていないのです。例えは乱暴かもしれませんが、この10年でハードディスクはいくら安くなった ? 100円ショップやユニクロで売られている商品と同程度の品質のものは10年前ならいくらで買っていた ?

国内レコード会社にこのような殿様商売を許す背景には、再販制度という温室があるからです。決まった利益を確保できる商売なのだから何とも羨ましいものです。「音楽は文化だから薄利多売の安売りはできない」「レコード会社は売上げが低くても質の高い作品を提供する義務がある」などと主張があるようですが、こんなのは全くの詭弁。子供を騙して売りつける大量消費財みたいなCDばかり作っていてよく言うよ。

輸入権の設定によって利益を得るのはレコード会社だけです。ユーザーはもちろん、音楽を制作するミュージシャンやエンジニアには何らメリットはありません。これを導入するにあたって、消費者からの反発が予想されることと、恐らく状況が何も分からないせいもあるのでしょう、文化庁は現在メールでの意見募集を行っています。意見のある方はぜひ送ってみてください。もちろん、私がここで書いたことはあくまで私の見解であり、私の意見であって、同じ内容の意見を送ることを強要するものではありません。

締切りは24日になっています。↓↓↓↓↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2003/03120901.htm

Res:主宰者 題名:参考ページ 投稿日 : 2003年12月23日<火>15時19分
今回の著作権法改正案、ならびに輸入権について分かりやすく解説しているページ
↓ ↓ ↓
http://japan.cnet.com/news/pers/story/0,2000047682,20062931,00.htm

文化庁にメールを出すならここも参考にした方が良いでしょう。相手は役人です。一般常識は通用しないことを知っておく必要があります。
↓ ↓ ↓
http://www013.upp.so-net.ne.jp/tadhomma/AnarchoMusic.htm#46.825
http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2003/03120901.htm

ご存知の通り、ここで触れている文化庁の意見募集の結果は676対293で賛成が圧倒的多数だった。因みに反対の内1件は私が提出したものである。
輸入規制反対のページには、「今までなぜ黙っていた」という批判が寄せられている。別に上記を免罪符とするつもりはないが、黙っていたわけではないことは分かっていただけると思う。ただ個人のステイトメント、それも私のような無名の存在では影響力は無いに等しい。世論を盛り立てるなら、ある程度手段を選ばねばならないだろうし、今回の声明発表を含む一連の行動は残された少ない時間の中で少しは有効な手段だと思ったから私は賛同した。声明文の内容は95%ぐらい同意できるが、個人的には100%同意とは言えない。しかし今優先されるべきは大同団結であって、小異を議論している時間は無いのである。この問題に何らかの関心を持っている人は、自分で何ができるか考え、行動して欲しい。黙っていることがこの法案可決の可能性を限りなく100%に近づけるのだ。
法案が可決されたら、次はどうするのか、それも考えてはいるが、それを行動に移すのは可決されてからでいいだろう。