Amazon.co.jpから予約してあったビートルズの『ネイキッド』(もちろんCCCDなんていう珍商品ではない米盤CD)とRHCPのベストが昨日届いたので、今日とりあえずビートルズだけ聴いた。レココレの最新号でも特集されていたし、攻略本みたいなムックも複数発売されているから、散々言い尽くされているのだろうけど、一聴して感じたのはそうとう継ぎ接ぎしてるなということ。これで「本来のビートルズの姿」とは笑止。明らかにかつらを着けているおっさんが「かつらじゃありませんよ」と言い張ってるのを見た時と同じ不快感と滑稽さがある。

ミックスやリマスターに関して専門知識があるわけではない私でも、オリジナルテイクをハードディスクに取り込んであれこれ弄って作られたものであることぐらいすぐ分かる。どの部分にどのテイクが採用されたかについては、粋狂な方々が検証なさっているだろうから敢えて詮索するつもりもない。フィル・スペクター版にしろジョージ・マーティン版にしろ、やる気が感じられずダラダラしていた(はずの)演奏が、ぐっと引き締まってエネルギッシュに再生されているのには驚いた。それは嬉しい驚きではなく、何故こんなことをする必要があったのかという疑念に近いものだ。特に顕著だったのは「I've Got A Feeling」や「One After 909」あたり。

聞くところによるとアップルは数十年先までビートルズの「新作」のリリーススケジュールを既に立ててあるそうで、『レット・イット・ビー』にこれだけ手を加えてしまうということは、当然これから発売されるであろうこれ以外の作品も改良という名の何らかの改作になるのだろう。オリジナルリリース時のビートルズ作品全てが神聖にして侵すべからざるものとは思わないし、誰かみたいにゴールド・パーロフォンこそが最高なんてことも言う気はないが、その改変基準が市場に投入できるだけのクオリティかどうかにのみスポットを当てられるのは御免被りたい。