ミッシェル・ガン・エレファントが出演するというのでNHKの「トップ・ランナー」を見る。これって昔大江千里が司会をしてた番組だよね。知らないうちに武田真治にバトンタッチされていた。構成はライヴを挟みながらスタジオでの4人揃っての公開インタビュー。過去の(市販されている)ライヴ映像とかプロモーション的な告知も無く、シンプルな内容で良かった。収録自体は解散の発表前に行われたとのことなので、今回の解散に至った理由や経緯は聞けるはずもなく、デビュー前のエピソードを中心としたインタビューと解散発表前の現在のミッシェルの姿を伝えるライヴというテーマの下では、その企画意図は果たせていたと思う。それが却って今回の解散へ至った道のりを浮き彫りにしていたように感じられた。制作側が解散することを知っていたかどうかは不明であるが。


ライヴの度に金がかかって大変だったとか、クハラの就職などで一時は解散の危機にあったとか、デビュー前の話はそこらで燻っているアマチュアバンドのそれと全く同じであって、そんなレベルから始まったバンドが様々な経緯を経た上であの4人で結束し、ミッシェルの音を固めていった過程は想像以上の努力と、いくつかの幸運とに彩られたものだったことが読み取れた。10余年に及ぶ活動の中ではいろんな局面があるのは当然だ。世の中には全く変化することなく同じ音を出し続けるバンドもいて、そういうバンドも嫌いではないのだけれど、ミッシェルは変化していくことに前向きだった。それが彼らにとっての創造性というものだ。だからこそ私は『CASANOVA SNAKE』以降のミッシェルに興味が薄れてしまったということもある。変化の方向と一リスナーの好みが一致するとは限らないのだ。いろんなことがあった10余年のうちに、一定の音楽性は保ちながら変化を加えていくことが命題だった彼らにも限界が来てしまったのが今回の解散の真相ではないか。これまた世の中には限界に来ているのに無理して続けているバンドもいるのだが、その点彼らは自らに正直だったのだろうな。「(ミッシェルのメンバーは)ファミリーみたいなもので、その関係は一生続く。」と語ったチバを見ると、このバンドが喧嘩別れとか単純な理由で終わるのではなく、本当に燃え尽きて終わるのだなと思った。


NHKのスタジオで収録されたライヴは、けが人が出るのを恐れたのか客がスカスカで、そんな状況にも関わらず演奏は全力投球だった。これだけのライヴが出来るのだからその繰り返しだけで続けていくことも可能なのにと思うのは私が当事者ではないからだろうな。これでは飽き足らない表現欲求がメンバーの内には秘められていたのだろう。解散後それがどういう形となって実現されていくのかは分からないけれども、彼らが追い求めた音を現実のものとした時にこの解散は意義あるものだったと言える。