サマソニとフジロック



フジロック出演アーティスト第3弾発表
 日付が16日に変わると同時に発表されたフジの出演アーティスト第3弾。個人的にはもうお腹一杯。もうこれ以上見たいアクトを増やしてくれるなよとSMASHに言いたい。ブッカー・T・ジョーンズにUAまでいるのだから。これじゃあ絶対にバッティングして見たくても見られないアーティストが出てくるよなあ。毎度のことながら。
 個人的なサプライズとしてはスティーヴ・ナイーヴの名前があったことだ。「Steve Nieve Band featuring Joe Sumner」の名義となっており、スティングの息子のジョー・サムナーを迎えたユニットのようだ。ということは当然『Welcome To The Voice』の再現ということになるだろう。さすがに親父は担ぎ出せなかったので、息子に代役を務めさせるというのもどうかと思う部分はあるにしろ、日本であのステージが見られるとは思っていなかったので楽しみだ。
サマーソニックラインナップ最新版
 フジの第3弾が出たのと同じ頃、サマソニの第4弾発表もあった。既報の通り、今年はエルヴィス・コステロの出演が決まっていたものの、当初はバックバンドについての情報が無かった。それ故「弾き語りか?」と思っていたが、第4弾発表と同時に「Elvis Costello & The Imposters」に変更されていた。
 エルヴィスは6月に新作『Secret, Profane & Sugarcane』を発表し、同時にレコーディング・メンバーから成るThe Sugarcanesを従えてアメリカ・ツアーを敢行することになっている。サマソニはその合間の来日に当たるので、もしバンドが付くとしたらThe Sugarcanesを連れてくるのだろうと思っていたのだが、Impostersとは。
 The Sugarcanesはフィドル、ドブロ、マンドリン、ベース、アコーディオンというアコースティック編成によるブルーグラスのバンドだ。今夏のアメリカ・ツアーでもブルーグラスのフェスに出演する予定がある。サマソニの観客を考慮するとブルーグラスでは渋すぎるという判断があったのか、或いは6人編成のSugarcanesと3人編成のImpostersとでは掛かる経費も違うだろうから、Sugarcanesで呼ぶ予算が無かったのか。
 真相は与り知らぬが、ちょっと残念。もちろんImpostersならフェスの観衆を前にしても納得させるだけのロックンロール・ショウにはなるだろうけれど、今のエルヴィスのベクトルが何処へ向いているかを考えれば、本当はSugarcanesとやりたいはずだからね。
 しかしスティーヴはフジに出演して、2週間後のサマソニにも出演するとなると、帰国せずに日本に滞在し続けるのではないかな。スケジュールが許せば単独公演もあり得る。
 エルヴィスによるブルーグラス公演が見たい理由として充分な映像を以下に。

 ご存知ヴェルヴェッツの「Femme Fatale」。この曲は新作『Secret, Profane & Sugarcane』のアナログ盤にのみ収録されることになっている。カヴァーが多いエルヴィスにしても、これほど有名な曲を取り上げることは稀。何故こんなにカヴァーし尽されたような曲を?と思っていたのだが、この映像を見て納得。ブルーグラスは元々アイルランドからの移民たちが持ち込んだトラッドが、アメリカの音楽と融合して誕生したことを解き明かすような素晴らしいアレンジ。ロック界のスタンダードと言うべきナンバーもエルヴィスの手に掛かればこの通りなのだ。エルヴィス自身がアイリッシュの血を引くことも影響しているだろうが、それ以前に音楽的な冒険心が未だ健在であることがよく分かる。新作の曲はもちろん、エルヴィスの過去ナンバーがどのように演奏されるのか、Sugarcanesとのライヴには興味が尽きない。
 アメリカ・ツアーが終わったらSugarcanesを率いての単独来日なんて期待できないものかね。今求められるのはSMASHの冒険心だ。お願いしますよ、日高さん。