BEAT GOES ON@高円寺U.F.O. Club



 予め断っておく。これを書いているのは2月19日である。
 仕事をほぼ定時で上がって、久しぶりの高円寺へ。到着したのは7時20分ぐらいか。面子を考えると、最大の目当てであるNYLONの出番は1番ではないだろうとの読みはあったので、あまり焦らず。急な階段を下りて、狭く暗いU.F.O. Clubに辿り着いた時には既にバンドが演奏していたが、案の定NYLONではなかった。

  • THE JET LAZ CINEMA

 若く、下手くそなバンド。ロックンロールバンドがロックンロールバンドであるために重要な要素の内、二つを備えている点で好感が持てた。でもそれ以外に魅かれる要素が見当たらなかったのは残念。演奏するのは「Don't Ever Change」とか、キャバーン時代のビートルズを継承する、正統派の泡沫バンド。がんばれ。

  • THE SELLCANCERS

 続いてはボーダールックで統一した、エレキインストのバンド。上手い。それ以外の記憶が無い。

 久しぶりに見た。活動停止してしまったRADICALSの江戸川力也が加入してからは初めてのはず。ただ元々インストがメインのバンドなので、力也が入ったことでバンドのカラーが大幅に変更されたということはない。相変わらずジャズ色の強いファンクを爆音で鳴らす大所帯のバンドである。ラテンのリズムが後退した感があったが、この日の選曲がたまたまそうだっただけかもしれない。

 前から思っていることだが、このバンドは何組も出演するイベントではなく、2時間ぐらいの単独公演を一度見てみたいものだ。30分ほどの持ち時間では、あまりに端折り過ぎで、彼らが目指している(と思われる)カオス状態のビートの渦が現出する前に終わってしまう印象なのだ。短い演奏時間の中では、バナナを食べたり、ヌンチャクを振り回したりするパフォーマンスも取って付けたような気がする。はっきり言えば要らない。

  • NYLON

 んで、はるばる高速バスに乗って上京してくれたNYLONである。昨年9月にこのハコで見て以来、5ヶ月ぶりの東京でのライヴである。この5ヶ月の間に待望の3rd.アルバムを制作し、その発売も3/28に控えている。これだけの条件が揃えば、ライヴも気合の入ったものになるだろうと期待するのが当然だが、NYLONはその期待を裏切らなかった。

 「It's Alright」という何度か聴いている、そして今度のアルバムにも入るであろう新曲からスタートし、定番曲、初めて聴く新曲も交えての貫禄のライヴだった。しばらく見ないうちにメンバーそれぞれが逞しくなったような気さえした。単なる身贔屓ではないと思うのだが。

 シマノのクレイジーなパフォーマンスは、従来比30%アップという感じで、何度でもフロアに突っ込んでくる。バンドが出す爆音に負けないメグのヴォーカルには成長の跡が感じられた。声が太くなったなあ、と。

 初めて聴いた曲の中で、とりわけ印象深かった「ヤッチマイナ」と連呼する曲(タイトル不明)は、3rd.にも入らない曲らしい。2nd.と3rd.の制作には2年以上のブランクがあったこともあり、アルバムに入り切らなかった曲や、或いは3rd.制作後に早くも出来上がった曲があるようだ。アルバム単位で活動していないところが、NYLONらしいな。

  • THE CHOCOLATES

 NYLONが終わって、私までが一仕事終えたような、妙な達成感を覚え、後はまったり見ようと思っていたところへ登場した彼ら。何となく名前に聞き覚えはあったものの、ステージに現れたメンバーを見て驚いた。ヴォーカルはトクtheDではないか!さらにギターにヒロキング!もうひとりのギターがクスモト氏のようだ。つまりドメニコドモランテとギョガンレンズの合併バンドということである。ベースとドラムの人もどこかで見たような気がするが、思い出せない。
 ドメニコを最後に見たのは5〜6年前で、それ以降消息が途絶えたので、「今どうしてるのかなあ」と、考えたことがこの5年ほどで数回ある。トクちゃんの体重はあの頃より10㌔ぐらい増量していると思われるが、それでもまだやっていてくれたことが嬉しかった。
 この面子から想像できる通り、バカノリのパーティーバンドである。「White Light/White Heat」とか「I Wanna be your Dog」など分かりやすい曲を日本語詞で演奏する姿に、思わずこみ上げるものが。そういえばドメニコの時も「Action Woman」とかベタな曲を得意としていたよなあ。
 ガレージ・バンドとしてはベテランと言って良い人たちなので、ある意味危なげないほどに狂ったライヴで、アンコールも2回。U.F.O. Clubは11時近くまでドッカン、ドッカンと盛り上がり、ロックンロール・ライフを謳歌した一夜であった。