6/11HARD CANDY vol.4@新宿Marble



 今さらかよ…orz もう10日も前のことなので、心許なくなり始めた記憶を手繰り寄せながら書いてみる。
 珍しく、というか今年初めてライターの仕事が立て込んで、前日中には仕上げる予定だった原稿が出来上がらず、ギリギリまで四苦八苦。6時開場なのに、何とか書き上げたのが5時50分。原稿をメールで送って、急いで着替えて新宿を目指したが、6時半の開演には間に合わず。目当てのNYLONは一番目の出演ではないだろうとは思っていたが、イベントは極力最初から見る主義の私としては自己嫌悪。
 入り口でチケット代を払って、場内に入ろうとしたらカウンターのお姉ちゃんに「それ撮影ですか」と私のカメラを指差す。普通カメラは撮影するために持って来るものだろうと思いつつ「そうですけど」と答えると、「バンドさんの許可は取ってます?撮影許可書が出てませんけど」と言われる。一応NYLONのメンバーには撮影する旨予め伝えてあることを説明すると、「じゃあこれを書いてください」と撮影許可書なる用紙の記入を求められた。住所、名前、使用機材、使用目的まで書くんだぜ。こんなハコは初めてだ。
 憤慨しつつ場内に入るとsixというバンドが演奏中だった。60'sガレージの末裔といった感じのトリオで、ギターとベースが女の子。服飾の専門学校生が課題で作ったみたいな原色の衣装で雰囲気はある。一方ドラムはヘルプらしいがおっさんで、ひとり衣装が違うのでちぐはぐな感じ。ラウドなファズギターが中々良い音を出していたけど、3曲ほどしか聴けなかったので評価は保留。
 続いてイグワナズ。

 京都から来たガレージ色の強いビート・バンドで、ライヴを見るのは3年ぶりぐらいかな。ヴォーカル、セイジがロン毛になってたので最初出てきた時に「メンバー変わったのか?」とびっくりした。
 音は相変わらずのロッケンロールで、こういうバンドは無条件に好きだ。以前見た時より演奏がやや攻撃的になった印象は受けたが、それでもバンドのイメージを覆すほどの変化ではない。良い意味でパブ・ロック化しており、演奏も上手いのでこのような小さなライヴハウスでの演奏は単純に楽しめる。40分ほどの持ち時間はしっかり聴かせる良いバンドなのだが、彼らにはもう少し欲を出してもらいたいな。もっと頻繁に見たいと思わせる程度には。
 お次はザ・ラジカルズ。

 初めて見た。フライヤーに出身を「東京」ではなく、わざわざ「浅草」と書いてあるのは彼らのこだわりなのだろう。下町情緒を忘れない心意気なのだろうか。ライヴを見て、そのココロはブルースと解釈した。
 写真にあるように、ブルースハープも吹くヴォーカルのキャラクターが気のいい兄ちゃん風で、音はモッズ時代のザ・フーや、アトランティック時代のJ.ガイルズ・バンドを彷彿とさせながらも、どこか和風のさっぱり感がある。ファンキーなんだけど、欧米人のそれほど脂切ってないというか。それが彼らの個性なのだろうし、私は好意的に受け止めた。不審人物キャラのベース(ヴォーカルのMCの間も勝手に意味不明のことを喋り続ける)もインパクト大。そして何より迫力あるドラムが最高。最大限の褒め言葉を用いるなら、彼は和製キース・ムーンである。このドラムにグイグイと引っ張られて、後半の盛り上がりは素晴らしいものがあった。
 そしてNYLONだー。


 2週間前の八王子以来のライヴ。この間にも彼らは名古屋へ行ったり、岡山へ行ったり、活発にライヴを続けていた。その成果は演奏にも反映されていたように思う。顕著だったのはドラムのマサオだ。彼の演奏は見る度に良くなっていて、言葉で説明するのは難しいがキレのある彼のドラムスタイルを確立しつつある。彼が加入した直後、最初に見たライヴではフロントの3人のノリに着いていくのがやっとではないかと感じたものだが、今や彼がグルーヴの重要なポジションを担っているのが分かる。

 もちろんフロントの3人はステージ狭しと暴れ回る。もう何度も見ているとはいえ、毎回このステージには興奮させられる。オフステージではどちらかと言うと大人しい子たちなのに、演奏時のこのエネルギーはどこから出てくるのだろう。この日は「波乗りビート」でスタートして、中盤に3曲ほど連続して新曲を披露。おー、やっぱり新曲のストックは沢山あるんだ。どれもビートの効いたナイロン・ロールと呼ぶべき曲で、曲調はややオールディーズ色が強まったか。バンドのテンションは非常に高いので、このまますぐにでもレコーディングしてもらいたい。
 毎回褒めちぎっていても何なので、あえて苦言を呈するならこの日は音のバランスに問題があった。まあ会場側の責任でもあるのだが、シマノのギターがよく聴こえなかったのでステージ上の動きほどには、音に激しさを感じなかった。後、別に苦言ではないのだが、何故かシマノがずっとにこやかだったのは謎。こんなシマノを見たのは多分初めてだ。何か良いことでもあったのか?

 トリは騒音寺。この日は京都のバンドが3つも出演したのだ。彼らのライヴは1年以上ぶりだと思う。相変わらずコテコテである。ジャンル分けするなら、間違いなくロック・バンドなのだろうが、パンクとかガレージとかの要素が感じられない点で私の好みとズレがある。70〜80年代ぐらいの日本のロック、輸入文化を翻訳し切れずに別の物に変えていた黎明期のロックを感じるのである。それが彼らの個性であって、それは尊重するけど、個人的には思い入れを抱けないのだな。レコードで聴くよりライヴは100倍ぐらい良いし、ヴォーカル、ナベはパフォーマーとして才能のある人だとは思うのだが。
 ステージ前には親衛隊みたいなイカレタ客が陣取っていたので、写真は無し。


 この日は入梅直後でジットリと蒸し暑く、前日半徹夜状態だった私には過酷な環境でもあった。翌日もライヴが控えていたので、終演後イグワナズのライヴ会場限定の7インチを購入して早々に退散。