まず昨日の内容を一部訂正。昨日分の日記を更新した直後に藤川毅さんから同報メールが届いたのだが、それを読んだのは午前3時過ぎだったので、日記に手を加えることができなかった。そのメールの内容とは著作権法改正法案をめぐる現状報告で、一部を以下に抜粋。

残念ながら法案をめぐる先行きは我々にとって非常に暗いものです。衆議院では与党自民、公明を含め、今回の法案に「政府は、改正後の著作権法第百十三条第五項施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、、同項の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする」という、いわゆる見直しの付則をつけることで合意は出来つつあります。
その場合、一度は参議院を全会一致で通過した法案だけに、参議院にもどし、本会議で議決する必要があります。
本国会は年金問題で荒れており、与野党国会対策委員長は対立しており、話が出来る状況ではないようです。
そういう状況で、参議院に修正案を戻すことは、参議院で議決できず、法案が廃案となる可能性もあり、それを避けたい与党側としては、修正に応じず、今週中にも原案通り可決という可能性が非常に高くなっております。
ただし、これまで著作権法は全会一致が原則となっており、このような状態でも民主党が反対に回ることが出来れば、付則をつけられるという一縷の望みも残っています。

しかし、現状では原案通り可決の可能性が高く、法案成立後の音楽ファンの不満の矛先への危惧や、政府による法案運用への危惧があります。

昨日私が書いたのはあくまで得られた情報から推測される見通しに過ぎず、現実的にはそれはまだ甘いものだったということ。実際は原案通り可決の方向で進んでいるようだ。法案を通さないためにできることをやろうとした大勢の人の主体的意志によって状況はいくらか好転したように思っていたが、現実の壁は厚かったということか。ただし、これも以前から言っていることではあるのだが、仮にこのまま法案が可決成立してもそれでジ・エンドではない。少なくとも私はそう思う。法案成立後の音楽流通のあり方をどう変えていくかを具体的に考えればよいのだし、それはレコード協会が守ろうと躍起になっている現在のビジネスモデルの崩壊を意味するものでもある。
で、注目の文部科学委員会である。今日行われたのはトータルで2時間半強で、生中継は見られなかったので例によってビデオライブラリを。ただしそれもまだ前半部分しか見ていないことはお断りしておく。
冒頭の各参考人による意見説明については、OTO-NETAさんが速記しているので参照されたし。リンク先には「間違いあるかも」と書かれているが、私が見たところ重大な間違いは特に無いように思う。
依田会長の説明は参議院で行われたものと全く同じ。この間世論が盛り上がり、音楽ファンが抱くレコード協会への不信がピークに達しようとしていることなど全く関知していないかのようだ。高橋健太郎さんの説明は理路整然としていて、かつ音楽関係者の代表として誠実なものだったと思う。が、「創造性の低下への懸念」を中心にしたアピールはクリエイターでもある健太郎さんなら当然の主張とはいえ、代議士のおっさん連中にどこまで理解できたかは多少不安も感じる。HMVの日本法人代表取締役ポール・デゼルスキー氏は流通に携わる立場として現実的な視点に沿った意見を述べたという印象。小売業としてこの法案が歓迎できるものではないことは明確になったと思う。
続いての参考人質疑だが、先に書いた通りまだ全てを視聴したわけではないとはいえ、印象に残ったのは依田会長のタヌキぶりばかりだ。よくもまあぬけぬけとそんなことが言えるなと。おそらく同じことは多くの人が気付いただろうが、怒りが収まらないので書きなぐっておく。
「(規制対象の期限は)当初50年を主張していた。7年に縮めるのは不満だ」
「(5メジャーが日本への輸入盤を規制する考えはないことをどう確認したかについて)個々の会社の取締役会で取り決めがあったかどうかは知らない。各会社の日本法人が確認することでレコード協会会長としては確認する立場に無い。得られた情報から規制はしないのだと理解している」
「(法案提出前の分科会の席上で「1800円程度の値段ならアジアからの還流盤でも規制するつもりはない」と発言したことに関して)還流品であるという表示があれば販売は認めない。値段は関係ない」
「現行の再販制度の中でもCDの値段は300円から3300円まで幅広い設定がされていて、それぞれちゃんと競争がある」
いやもう、空いた口が塞がらないとはこのことだ。こんな人の言うことの何が信用できようか。300円のCDってそれは食玩CDのことじゃないの?御社がDVDと抱き合わせで売っている浜崎某やら何やらはチョコレートのオマケのキャンディーズ久保田早紀と競争していたのか。何だか後半部分は見るまでもないような気がしてきた。



今日入った情報によれば、ウィルコ・ジョンソンフジロック出演がキャンセルされることになったとのこと。詳細は不明ながら前後のツアーも同様にキャンセルされるようなので、演奏自体ができる状態ではないらしい。苗場で見られなくなったこともショックだけど、ファンとしてはウィルコの今後が不安である。
暗い話題が続いて申し訳ない。