28日の衆議院文部科学委員会

ネットにて傍聴。上記URLから→ビデオライブラリ→審議中継の5月28日→文部科学委員会の順にクリックしていくと辿り着ける。トータルで5時間20分と「風と共に去りぬ」より長いため、さすがに全編を集中して見てはいられなかったが、全体の感想としては先月の参議院での委員会よりは白熱した内容だったと思う。私はWindowsMediaPlayerで視聴したが、途中音声が途切れたり映像がフリーズしたりすることが何度もあった。参議院の時はそうしたことはほとんどなかったので、あの時よりアクセスが格段に増えているのだろう。世間の関心が高まってきているためと理解しておこう。
委員会の概要、特筆すべき点などは以下にまとめられているので、5時間20分を割くことができない方はせめてこちらを。
The Trembling of a Leaf内5月28日付けトラック
ぽいずん内5月28日付けトラック
IT medeia ニュース「輸入CD規制問題、衆院での審議が始まる――かみ合わない質疑」
私が気になった点をいくつか。思わず手に汗を握ったのはやはり午後の質疑で、法案の根拠となった各種資料にある数字がいかにいい加減なものであったか、その内容を精査せずに法案が作成されたかが次々明らかになって、河村文化科学大臣が気の毒になるほど。松本議員が追求していた「アジアからの還流CDが68万枚」の算出根拠とされた計算式に含まれる回転率の3.5という数字(文化審議会の法制問題小委員会で提出された資料による。原文はここ)は、音楽小売業6年の経験を持つ私としてはむしろ低いように思われたが、その数字ですら説明できないのではお話にならない。ただし松本議員が言った「これが3.5ではなくて半分だったとしたら還流CDは34万枚になるんですよ」というのはあくまで例えで言っているのだろうが、現実にそんなに回転率が低かったら販売店はつぶれる。「3.5というのは一般的なCD販売店の回転率が使われている。ディスカウント店ではこれほど高くはならないのでは?」という質問は確かにその通りで、在庫が100〜200枚程度のディスカウント店ならもっと低いだろうが、一般的なCD販売店なら決して高い数値ではないことを議員は知っておかれた方がよかろう。
川内議員の質問はさらに大きな成果があったように思う。冒頭まず河村大臣に今回の法改正は文化審議会が提出した報告書に基づいたものであることを認めさせた上で、その報告書の「おわりに」とされている部分(原文ここ)には「5つの小委員会における検討の結果,書籍・雑誌の貸与に係る暫定措置の廃止等に関しては,速やかに著作権法を改正すること等が適当であるとの結論を得た」としか書かれていないことを指摘し、改正すること等の「等」に輸入権創設が含まれるのかとの質問を行い、大臣の口から「含まれているとは思いたくない」との発言を引き出している。ブラボーである。これで「還流防止制度の導入」の名で呼ばれる輸入権創設が一部の意向により強引に推し進められようとしたことがはっきりと認められたのだ。
川内議員は「文化庁の担当者は何を説明してる。大臣にこんなみっともない答弁をさせちゃダメですよ」と言っていた。民主主義の根幹を否定するような法案が提出されて、しかも通る直前まで来ていることは、日本の憲政史に残る汚点だろう。川内議員の言葉を借りれば「後ろで首振ってる男の子」は参議院の委員会の時も文化庁素川次長の後ろに座っていたよな。6月1日に開かれる次の審議までに彼は何か挽回策を用意するのだろうか。